オーディオインターフェース無しでDJ配信をする for macOS

前回はWindowsでオーディオインターフェース(以下: オーディオIF)を使わず、インストールした仮想オーディオIFだけでどうにかすると言う荒技をしました。

検証にめちゃくちゃ時間掛かった。

結果的には可能だったわけですが、次の矛先はmacOSです。

macOSの場合、最近出たばかりの Blackhole を利用します。macOSではAudio MIDI設定から色々できるので若干楽ではありますが、環境に合わせてサンプルレートを変えたりと微調整が必要なので注意。

検証環境

Windowsの時と同じ様に9年前のマシンで検証を行います。でもやっぱり中古(ジャンク品)から復活させてるのでスペックが充てになりません。

PCMacBookPro (’13,Early-2011/i5-2415M/16GB/SSD:400GB)
DJコントローラVestax Spin2
DJソフトウェアPioneerDJ rekordbox dj
もはや元々のスペックが残ってるのがCPUくらいしかないMacBookPro。

問題はこの機種、前回のWindowsと異なりQSVが使えない=ハードウェアエンコードが使えません。なのでこの時点で「配信の品質を下げないとrekodbox djと同時起動が難しい」と分かります。どうなることやら。

完成図

今回の完成図もWindowsと同じですが、今回の場合はハードウェアとの連携が密になります。

でも、結局は音が出て配信ができれば良し。

必要ツール

  • Blackhole (検証時のVer.はv0.2.6)
  • LadioCast
  • DroidCam(無償版) または EpocCam(無償版)

Blackholeはメールアドレス登録が必要です。登録したアドレス宛にダウンロードリンクが送られてくるので、ちゃんと通じるメールアドレスを使いましょう。
LadioCastは公式AppStore上から無料DLしインストールします。

設定

Audio MIDI 設定

標準ツールのAuido MIDI 設定で以下の2つを組み合わせた機器セットを作成します。
「機器セットってなに?」な方はApple公式のヘルプを読んで下さい。

コントローラーとBlackholeとで機器セットを作成
見た目からして気持ち悪いインターフェースが出来上がる
  • 機器セットの対象
    • 使っているオーディオIF付きDJコントローラー
    • インストールしたBlackhole

今回は検証用として用意したSpin2とBlackholeを合わせた物になります。
オーディオIF付きDJコントローラーは大概4出力(マスターステレオ出力,ヘッドホンステレオ出力)、そこにBlackholeの仮想デバイス(モノラル16入力,モノラル16出力)が加わるので、16入力20出力の化物インターフェースが出来上がります。

rekordbox dj

注意が必要なのは、ここでマスターアウトは仮想側、ヘッドホンは実コントローラー側になること
  1. [環境設定]→Audio MIDI設定で 作成した機器セット を選択
  2. [サンプルレート]が 44100Hz
  3. [バッファサイズ]が 512〜1024 サンプル(※PCのスペックによる)
  4. [出力チャンネル]が以下になっている事を確認
    • Master Out
      • L – Output 5
      • R – Output 6
    • Headphones Out
      • L – Headphone Out L
      • R – Headphone Out R

MasterOutはBlackholeの出力に回しますが、Headphonesはコントローラ側のヘッドホン端子から出力します。

Ladiocast

LadioCastからはコントローラ側のマスターアウトを設定し、スピーカーから出力できるようにします。

LadioCast側の設定はこれだけ
  1. [入力1] – Audio MIDI設定で 作成した機器セット を選択
  2. [出力 メイン] コントローラーのマスターアウト
  3. [ファイル]→[環境設定]→サンプルフレーム長を 128 (※PCのスペックによる)

これでコントローラのマスターアウトよりミックスが出力されます。3のサンプルフレーム長の値が大きすぎると遅延を起こしてヘッドホンと合わせると気持ち悪い感じになります。サンプルフレーム長はrekordbox djのサンプルレートと密接な関係を持っているので、とりあえず音が遅延していたらrekordbox dj側も設定して下さい。

DroidCam, EpocCam

USBで接続できるのはWindows版だけなので、どちらともIPカメラとしてmacOSに接続します。EpocCamの場合は専用ツールを利用するので楽に繋がるのでオススメ。また、どちらも640×480となりますが、通常用途でこの解像度は遅延が少ないのでそのままでいきましょう。

検証時にはMacに正式対応しているEpocCamを使うことにしました。

OBS-Studio

無償の多機能配信ツールと言えばOBS。
有償でも良いのは沢山あるけれど、無償で考えるなら基本これが一番。

OBS側で機器セットを選択する
  1. [設定]→音声を開く
  2. 音声タブの「デバイス」で以下の設定
    • “デスクトップ音声”の全て: 無効
    • “マイク音声”: Audio MIDI設定で作成した機器セットを選択

以上で仮想オーディオインターフェイスのルーティング設定が完了。
その結果を動画に納めてみました。

予想通り、負荷がヤバすぎて動画のフレームが落ちまくります。
なのでエンコード設定をかなり下げた上、解像度も1/4にした上でやっと録れました。
結果、何映ってんのか見辛すぎて訳分からん。

総論

mid-2011では荷が重すぎると言うことで、程度としてはRetinaモデル以降であれば軽快に動くやもしれません。また、Macbook Airでも2012モデルなら問題ないと思います。とは言え、音声だけの配信であれば古いモデルでも行けそうなので是非試してみて下さい。

でもやっぱり外部ミキサーと配信マシンを別で用意した方が良い。
その方が管理もトラブルも少ないので。